屋根瓦について

瓦は日本の風土にあった屋根材です

『瓦』は耐久性、耐寒性に優れ、断熱、防音性もよく、日本の伝統的な建築美の象徴として1400年に渡り受け継がれてきました。しかし1995年の阪神淡路大震災でのマスコミ各社の誤った報道により『瓦屋根は地震に弱い』という認識が広まってしまい、今でも『瓦屋根』に対する誤解は消えていないようです。

そこで、(社)全日本瓦工事業連盟は、全国陶器瓦工業組合連合会とと共に、『瓦屋根』の耐震実験を行いました。その結果、ガイドライン工法で施工された屋根は1G(阪神・淡路大震災の最も激しい地域で0.83G)の揺れに耐えることが立証されました。(耐震実験の結果。瓦屋根の耐震、耐風性能)しかし地震は屋根だけでなく家屋全体の構造や地盤の良し悪しによって被害は違ってくるもの。屋根が無事でも家自体が崩壊してしまっては意味はないのです。大切なお住まいにいつまでも安心して暮らせるために(有)外部工務店では葺替え時にご要望のあったお宅の耐震工事も提案、トータル思考でサポートいたします。

瓦の歴史

瓦はおよそ六世紀の末に、仏教建築と共に伝えられたそうです。 古代寺院の建築にあたっては大工その他の仕事と共に瓦造りも大きな仕事でした。 この時代の瓦は本葺瓦(工法)といいますが、その後1674年(延宝2年)三井寺の西村半兵衛という人が 現在の瓦の元となる桟瓦の発明をしたと伝えられています。 本葺瓦での重量が建物にかなりの影響を与えることを考え、軽量化を願ったことが推察できます。

その後、改良に改良を重ねて現在の和型瓦となりました。 しかし、原型は変わらないことを思うと、 西村氏の発明がいかに素晴らしいものであったかが理解できます。

1720年(享保5年)幕府の政令により防火構造として、土蔵造り、塗屋、瓦屋根の普及がなされました。 1792年(寛政4年)政令により焼跡には瓦屋根以外の建物を建てることを禁じています。 このようにして瓦は発展・普及していき、現在がある訳です。

瓦の特徴

瓦には他の屋根材に比べ、耐久性に優れている点があります。  他の屋根材の多くは10年~20年で寿命を迎えてしまいますが、瓦は倍以上の40~50年  もつとされてます。もっとも、悪くなった箇所だけ直すことも大事ですが。  長い目でみれば瓦の方が金銭的にもお得なのです。

次に挙げられるのは断熱性です。瓦は形、工法上、屋根との間に隙間が出来るようになってます。和型はもちろん平板瓦にも数センチの隙間ができます。この隙間にできる空気の層が熱を遮断してくれるという訳です。もちろん瓦自体も陶器ですので断熱性があります。

と、ここまで長所だけを書いてしまいましたが短所もあります。第一に重さです、瓦は他の屋根材に比べ、重量があります。阪神大震災の後、特に言われるようになりました。しかし、建築基準も厳しくなり、筋交いがどんな家でも入り、金具で補強されてる現在の家  の屋根材に、瓦を選ぶことは、さほど心配しなくてもいいのではないでしょうか?もう一つの欠点はコストですが、上で書いたとおり、長い目でみればお得なのです。

瓦の種類

屋根瓦には和型瓦と洋瓦があります。 和型の中でも和型瓦葺(簡略葺き)と本瓦葺きと呼ばれる瓦が有りますが、 現在は和型瓦葺(簡略葺き)が主流で、本瓦葺き工法は一部のお寺でしか、見ることができません。

洋瓦には平板瓦とS型瓦があります。 平板瓦は若い人にも受けが良く、工期も短く済み、スレート瓦に比べ耐久性、断熱性共に優れることから、かなり復旧しています。

  • 和型瓦
    和型瓦
  • 平板瓦(F形、M形)
    平板瓦(F形、M形)
  • S形瓦
    S形瓦

瓦工事の工法

和型には、土葺(つちぶき)工法と引掛葺(ひっかけぶき)工法があります。

土葺工法は瓦の下に土(葺土)を置く方法で、長所として野地むらの修正が容易であり、瓦にネジレがある場合にも瓦の安定及び納まりがよく、屋根の美しさを強調することができます。 しかし、土を余分に屋根に載せる為、重量が重くなるという欠点もあります。

引掛葺工法は全ての瓦が桟木によって止められているので、瓦のずり下がることを防ぐことができます。又、土葺工法では困難な、葺足を揃える事が簡単で、施工技術を短期間で習得できることがあります。

引掛葺工法の欠点と思われる瓦の安定については、少量の土を要所に入れる引掛馴染み工法が あります。一日に葺くことのできる施工面積も土葺工法に比べ多く、工事費が若干安くあがることも あります。洋瓦についてはほぼ全てが引掛葺工法です。

瓦屋根の耐震、耐風性能

瓦屋根の耐震性については数々の実験で証明されています。

阪神・淡路大震災、東海大地震… 震度7にも耐える瓦屋根

私たち瓦業界では2004年10月25日、瓦屋根の耐震実験を行いました。 実物の瓦2種類を実際に屋根に葺き、1995年の阪神・淡路大震災の地震を再現しました。 また、予想されている東海大地震の揺れでも実験しました。

その結果、2種類の屋根とも瓦1枚のズレも起こさず、被害はまったくありませんでした。 阪神・淡路大震災や東海大震災は震度7クラス、実験で使われた地震加速度は1300ガルという猛烈なものでしたが、瓦屋根にはこれらの大震災に耐える充分な強さがあることが証明されました。

  • J形
    J形
  • F形
    F形
  • 耐震実験
    耐震実験

ガイドライン工法なら安心

この実験に用いられた「ガイドライン工法」は、瓦業界が2001年に策定した「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に基づく工法です。ガイドラインは次のような設計・施工指針です。

・建築基準法の関係規定に準拠している
ガイドラインは独立行政法人建築研究所の監修を受けています

・屋根の耐風性能、耐震性能の評価方法を確立した
引っ張り試験と回転試験で、屋根の耐風性能と耐震性能を確認します

・屋根の耐風性能、耐震性能の要求性能を明確にした
耐震性能は1Gの地震加速度が目標性能。これは大震災を想定した設計に匹敵する性能で、屋根を垂直に立てても壊れないくらいの耐震性です